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心情経験

こんにちは。奈良県の広陵町にある陽塾の代表・原田基生です。

国語の小説の読解では、登場人物の心情を把握することがメインテーマです。
小説の登場人物は多彩です。いろいろな境遇の、いろいろな性格の人が、いろいろな出来事の中で思考し、行動し、その中で心情が変化してゆきます。

読み手がその心情を把握するときには、これまでに自分が感じてきたいわば「心情経験」を無意識にベースにして登場人物に感情移入します。

例えば、優しかったおばあちゃんが病気で亡くなり、登場人物が悲しい思いをしたとします。その時に読み手は、本当に自分のおばあちゃんが亡くなった時の気持ちを、そういう経験がなければ、自分のおばあちゃんが亡くなったら自分ならどう感じるだろうと想像し、「悲しい」心情を把握します。

ということは、登場人物の今の心情を経験したことがなかったり、そのベースになる気持ちをもとに心情を想像することができなければ、登場人物の心情を把握することは困難です。極端にいうと、「悲しい」経験を全くしたことがない人(そんな人はいないと思いますが)は、登場人物が「悲しい」思いをしても、その思いを理解することが難しいのです。

子どもたちには「いろいろな気持ちになる」経験が必要です。もちろん、トラウマになって後遺症を引きずるようなショックの大きすぎる経験はよくありませんが、できるだけいろいろな場面で、いろいろ感じることで「心情経験」を積んでほしいと思っています。
あらゆるわがままを聞いてもらって「わがもの顔」に生活して、いつも上機嫌で過ごしているのと、ときには叱られたりつらい思いをしているのとでは、「心情経験」に差が出ます。

「心情経験」を積むことは、単に国語の小説の読解ができるようになるだけでなく、子どもたちが他人の気持ちを理解し、他人の立場に立つことができ、より豊かに生きていくためにとても大切なことだと思います。

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