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借りたものを返さない

こんにちは。奈良県の広陵町にある陽塾の代表・原田基生です。

先日、定規を忘れた子がいましたので、その子に定規を貸し出しました。また、消しゴムを忘れた子もいたので、その子にも貸し出しました。

しかし、授業が終わってもその子たちは自分から返しに来ませんでした。その日は、わたしもその子たちがちょうど帰るときには取り込み中で、わたしから声をかけることができませんでした。

次の授業に来たとき、その子たちに定規と消しゴムを返してね、と言うと、その子たちは「あっ」という表情をして返してくれました。
その子たちは、たまたま返すのをすっかりと忘れていたようでした。定規と消しゴムは、前回の授業で借りたときから、それぞれの筆箱に入ったままでした。

できごととしては日常の小さなよくあることのようですが、わたしはいろいろ思うところがあります。

まずは、「モノを大切にしているか」ということです。モノがあふれる現代では、子どもたちも、そしてわたしたち大人も、以前ほどモノを大切にしていないように思います。
例えば、塾で鉛筆の忘れ物があったとします。名前は書いてありません。塾で何週間か保管し、「忘れ物ボックス」なるものに入れておいて、子どもたちが見ることができるように置いておいても、持ち主が名乗り出ることはまずありません。結局処分することになってしまいます。
忘れ物になってしまった鉛筆は、もう二度と持ち主のもとに帰ることができないというのは、ちょっと切ないですね。

そして、「貸してくれた人への感謝の気持ちがあるか」ということです。こちらはかなり重要です。
自分のミスで忘れ物をして、ほかの人が親切心で貸してくれているのに、それを返さないということは、「あなたに借りることができてよかった。助かった」という気持ちが欠如しています。「借りて当然」とどこかで思っているのかもしれません。
そうなると成長できませんし、忘れ物もなくならないと思います。

感謝の気持ちで使わせてもらい、「ありがとう」の一言とともに返す。
相手が友達なら、今回は助けてもらったので、次回は助けてあげようと考える。
とても大切なことです。

たかが文房具の貸し借りにも、しっかりと教育・指導べき側面があるということです。

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