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競争倍率のカラクリ

こんにちは。奈良県の広陵町にある陽塾の代表・原田基生です。

入試の用語に「競争倍率」という数値があります。新聞の報道などで「今年は〇倍の狭き門」などといわれます。
計算は簡単で、出願者数を募集人数(定員)で割った数値です。例えば、募集人数が100名のところに300名出願すれば「3倍」となります。

今年の私立の高校入試でも10倍を超える高校があり、毎年受験生や保護者の方はその数値にびっくりします。
「10倍ということは、10人にひとりしか合格しないということ?」

しかし実際の入試はそれほど厳しくなく、10倍くらいなら多くの子が合格します。

なぜそうなるのか。

それは、私立高校独特の出願形式「専願」「併願」があるからです。
専願受験者は合格すれば必ず入学することになりますが、併願受験者は他に第一志望の学校があるので、合格しても入学するとは限りません。
併願の場合、合格しても多くの子が第一志望に流れてしまうので、定員ちょうどの人数を合格させるだけでは定員割れになってしまいます。

そこで私立高校側ではそのことを考慮し、他の高校に流れる人数を計算して結果的に入学者の人数がちょうど定員くらいになるような人数を合格にするのです。
いくつかの大手塾の私立高校の合格者の数字を合計すると、多くの学校で募集人数を上回っていることが分かります。

例えば100名の定員に対して1200名が併願で受験し、仮に1000人が合格した場合、倍率は以下のようになります。
・名目倍率(見かけの倍率)=出願者数÷募集人数=1200÷100=12倍
・実質倍率(本当の倍率)=出願者数÷合格者数=1200÷1000=1.2倍

大きく違うのです。
これが私立入試の競争倍率が高くなるカラクリです。

それに対して公立高校は、合格すれば原則として全員入学するわけですから、「併願」はありません。
よって公立入試では募集人数=合格者数となり、100名の募集人数に対して300名出願すると、きっちり100名が合格して200名が不合格になるというシビアな入試になります。

昨日行われた奈良県の特色選抜は、最高で2.85倍です。3人に2人が不合格になる計算です・・・。
高校入試でこの倍率はいかがなものか・・・と個人的には思っています。

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