6.202015
書かなくてもよいことを書いて計算スピードが落ちる
こんにちは。奈良県の広陵町にある陽塾の代表・原田基生です。
基礎学力の中で「計算力」というのは重要です。
計算力をつける過程は、まず「正確さ」、続いて「スピード」です。
新しい計算のやり方を学んだら、まずは正確に計算する訓練をすることになります。
「面倒がらずに途中式も書きなさい」
「筆算もちゃんと書きなさい」
教師からはこんな指示が出て、ノートも、ていねいな字で途中の式や筆算などを書くことができているかどうかを重点的にチェックされます。
そして子どもたちは正確さを身につけます。
正確に計算できるようになったら、次はスピードをつける訓練です。
教師は工夫して、時間制限をしたり、子どもどうしにスピードを競わせたりする指導が行われます。
この一連の指導の流れは正しい指導方法です。しかし「スピード」指導の段階になると、ノートに書いている内容についての指導はかなり少なくなることが多いようです。
本来はここでも、子どもがどんな式や筆算を書いているかをしっかりとチェックする必要があるのです。
計算力がついて途中式や筆算を書かなくても正解できる状態になっているのに、「正確さ」指導のときに「必ず書きなさい」と言われた式や筆算を律儀に書いて、逆に時間がかかっている子がいます。真面目な子ほどそうです。
暗算した方が早いのに、「書く」という動作でその思考スピード・計算スピードを殺してしまっているのです。
これでは本末転倒です。
計算するときの一番の理想は、計算の問題を見て暗算だけですぐに正しい答えを出すことです。
この状態が「正確さ」と「スピード」が最高レベルで実現した状態です。
ノートやテストの余白には、正確さを維持できる最小限の「途中式」「筆算」「メモ」だけをすればよいのです。
わたしは、慣れていない時や正答率が低い時はポイントになる式を必ず書くように指示しますが、慣れてきたら逆になるべく式を書かないように指導しています。
ノートチェックで「この式を書きなさい」と指導されることは多いのですが、「この式を書かないようにしなさい」と指導されることはあまりありません。
「書く」ことよりも「思考」の方が何倍も速いものです。
計算力をつける過程では、途中式や筆算を、「はじめは必ず書かせ、できるようになったらできるだけ書かせない」ことが大切です。