1.102015
暗黙の強化
こんにちは。奈良県の広陵町にある陽塾の代表・原田基生です。
「暗黙の強化」とは、自分がよく比較される相手や自分がライバルと考えている相手が褒められると自分がけなされたような、逆に相手がけなされると自分が褒められたような効果があるという心理のことをいいます。
例えば、兄が親に褒められてばかりいると、弟は自分がけなされたように感じてしまい、逆に兄が叱られてばかりいると、弟は自分が褒められたように感じるということです。
友人どうしでも、例えば男子Aくんと女子Bさんが会話しているときに、Bさんがその場にいないCくんのことを、「Cくんってかっこいいよね」と言うと、Aくんは「じゃあ僕はかっこよくないのかな?」と思ってしまうものです。
自分のことを直接言われているわけではないのに、比較対象が上げられたり下げられたりすることで、自分が相対的に下げられたり上げられたりすることを感じてしまうので「暗黙の」というのでしょうか。
よく「きょうだいで比較はしてはいけない」と言われますが、こういう効果があるからだと思います。
この効果はもちろん教育の現場でも大きく作用します。
教師は、多くの生徒がいる前で特定の個人を褒め続けたり、叱り続けたりすることは好ましくありません。そういう行為は、その子以外の子どもたちに微妙な心理の変化をもたらすのです。
そうはいってもがんばっていて褒められることが多い子と、そうでない子がいます。そうでない子に対してはがんばったときに、少し大げさくらいに褒めてあげるとよいと思います。
また、褒めたり叱ったりの回数があまりに多いようであれば、ときどきは一対一の場で指導することも必要です。そうすればほかの子の心理には影響はありません。
子どもたちのいろいろな心理をしっかりと理解したうえで指導する。
教育にたずさわる者が常に念頭に置いておかなければならないことがらです。