2.202016
怠けアリ必要論
こんにちは。奈良県の広陵町にある陽塾の代表・原田基生です。
『アリとキリギリス』という有名な童話があります。アリは働き者のイメージがありますが、実はアリの集団の中にはあまり働かない「怠けアリ」が必ず存在します。働くアリだけを選んでグループを作っても、必ず働かないアリが2~3割現れることが確認されていて、なぜそんな非効率な存在があるのか謎だったようです。
しかしその「怠けアリ」は、他のアリが働き過ぎて疲れ、動けなくなったときに代わりに仕事をし、集団の長期存続に必要だとの研究成果を、北海道大学などの研究チームが英国の科学雑誌に発表しました。
働きアリの全てが同時に疲れて働かなくなると、女王の産んだ大切な卵の世話ができなくなってそのコロニーが滅びてしまいます。「怠けアリ」がいるほうが、集団全体で「誰も仕事をしなくなる時間」が減るのです。
チームの長谷川英祐・北海道大准教授は「この一見非効率なシステムがコロニーの存続に欠かせない。人間の組織でも長期的な視点で運営することの重要性を示唆する結果ではないか」と話しています。
確かに、同じ教室の中にもよくがんばる子とそうでない子がいます。しかしわたしはこの「怠けアリ必要論」は、教室の中では当てはまらないと思っています。
仕事で求められるのはチームでの成果、教育で求められるのはそれぞれの子の成長だからです。
例えば、いつもがんばっている子が勉強に疲れて少しサボった時、いつもは勉強しない子が「自分ががんばらないと」と思ってがんばったとしても、それはその子自身が成長するだけであり、疲れてサボっている子は成長することはありません。
クラスではどの子もそれぞれ一所懸命勉強しないと(働かないと)、それぞれの成長はないのです。
だから教師は「サボっている子がいて当たり前」などと思うのではなく、どの子もがんばらせなければならないのだと思います。